遺言・遺産相続に関する基礎知識
財産確認の必要性
故人が他界すると同時に、相続が開始します。相続が開始したのであれば、被相続人(故人)に帰属した積極財産(プラスの財産)・消極財産(マイナスの財産・借財)を調査し、どこにどれだけの相続財産があるかを確認する必要が生じます。
具体的には、以下のような調査方法により、被相続人名義の不動産・預貯金・株式・債権・車・宝飾品等の有無や、金銭的価値などを明らかにしていきます。
相続財産の調査方法
不動産の調査
登記事項証明書
登記事項証明書は調査対象不動産を管轄する法務局(登記所)で取得することができます。
固定資産税評価証明書・固定資産税課税台帳
固定資産税評価証明書・固定資産税課税台帳は調査対象不動産の所在地の市町村役場で取得することができます。
名寄帳
被相続人の不動産については、市区町村の固定資産税課(東京23区の場合は都税事務所) で「名寄帳」を入手できば、その区域での被相続人名義の不動産が判明します。
登記事項証明書・固定資産税評価証明書・固定資産税課税台帳(名寄帳)を取得して明らかにします。これらの書類を取得することにより、不動産の所有者・持分・所在・課税上の価値について明らかにすることができます。
預貯金・株式・債権等の調査
取引金融機関等に照会し、被相続人死亡時の残高証明等を取得して明らかにします。
預貯金や株式などは、被相続人が利用していた金融機関に対して死亡日の残高証明や取引履歴を照会することで確認できます。取引金融機関がわからない場合には、被相続人が暮らしていた地域で利用しやすい金融機関(大手都銀、ゆうちょ銀行など) に出向き、自分が相続人であることを示して(戸籍謄本が必要です) 、被相続人名義の預金の有無を確認します。
なお、死亡日(相続開始日) 現在には預貯金がなかったとしても、取引履歴に不自然な預貯金の引き出しや送金等があれば、それをきっかけに、 他の相続財産を発見できる場合もありますので、取引履歴の取り寄せもしてみることをおすすめします。
車の調査
車は車検証を見れば所有者が分かります。
現在価値は中古車市場の相場を調べれば概略を知ることができます。
現金その他の動産
書画・骨董などの動産や、いわゆるタンス預金(現金)等については、同居していた者の協力が得られない限り、発見することは困難です。
もし見つかった場合には鑑定を依頼したり、同程度の動産の価格を調査(市場調査)することにより明らかにします。
借財・保証債務の調査(マイナスの財産の調査)
借財・保証債務の調査は大変難しく、特に信用情報組合に加盟していない業者に対する債務、個人的な債務や保証債務については被相続人が記録して残していない限り完璧に調査することはほぼ不可能です。
しかしながら、債務の調査を怠ると後々大変なことになる場合がありますので可能な限り綿密に調査するべきだと考えられます。
特に個人事業主や会社経営者等,事業を自ら営んでいるか、事業に深く携わっている人が亡くなった際は注意が必要です。
具体的な調査方法としては以下のものが考えられます。
遺品の調査
遺品の中に借財・保証債務の存在を示唆するものがないか、注意深く観察しましょう。手紙や日記、業務日誌などあらゆる所にヒントなどが隠れているかもしれません。
また,預貯金の通帳があれば,その引落記録についても注意して見てみましょう。引き落としの履歴に消費者金融業者やローン業者の名前があれば、債務があることが強く推認されます。
不動産登記簿の調査
不動産を取得した際に、ローンの抵当権を設定している場合、不動産登記簿(全部事項証明書)の乙区の欄に記載されます。
そこを見れば、借財・保証債 務について分かる場合があります。
車検証の調査
車をローンで購入した場合,多くの場合,販売店若しくは信販会社に所有権が留保されていますので、車両の所有者は第三者になっていることがあります。
車検証を見れば、そのことが分かりますので、その「所有者」に問い合わせればローンの残債務を知ることができます。
信用情報の調査
金融機関は,その人の返済能力に応じてお金を貸しています。
ですから,金融機関は融資を行う際に,その返済能力(信用)を審査しています。
その審査の際に収集・参照され蓄積される情報を「信用情報」と言います。信用情報機関とは,信用情報の収集及び提供を行う機関です。
個人に関する信用情報機関は
の3つがあります。
これらの機関は,それぞれ加盟する金融 機関の信用情報を収集し共有していますので、被相続人の信用情報については,これらの機関に対し,開示請求することによって明らかにすることができます。
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