遺言・遺産相続に関する基礎知識
内縁の配偶者の地位
配偶者は常に相続人になりますが、内縁の妻や内縁の夫は法律上の「配偶者」として扱われません。そのため、内縁の配偶者にはまったく相続権がなく、たいへん危険な状態だといえます。
したがって、内縁の配偶者に財産を引き継ぎたいと思うのなら、夫婦として籍を入れるか、生前に財産の名義を移転してもらうか、あるいは、死亡した場合には財産を譲るという内容の遺言書を作成する必要があります。
財産分与
相続権はなくとも、夫婦として長年生活してきたのだから、夫の財産を夫婦共有財産とみなして、財産分与として半分くらいはもらえるのではないかと考えがちです。
ところが、財産分与(民法第768条) は法律上の夫婦に与えられた権利であり、内縁の妻が当然に請求できるものではありません。
そして、相続が起こったときには、相続の規定が優先するため、相続権者が1人でもいれば財産分与も請求できないのです。
特別縁故者
夫の法定相続人が一人もいない場合なら、あなたは特別縁故者(民法第958条の3) として夫の相続財産の全部または一部を受け取れる可能性があります。
ただし、その場合でも、あなたは、費用を負担して家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申立て(民法第953条)をする必要があります。
また、特別縁故者に対する配当は通常は1年以上の時間を要するので、かなり長期間待たなければなりません。
遺族年金・死亡退職金
これに対して、被相続人に配偶者がいない場合、内縁の配偶者も遺族年金受給者としての「配偶者」 に含まれます。
また、いわゆる重複的な内縁関係の場合でも、最高裁は、正妻とは、長期間(23年間)別居していた、生活費を負担するなどの扶養・被扶養の関係がなかった、婚姻関係を修復する努力をしておらず、内妻とは、長期間夫婦同然の生活し、被相続にの収入で生計を維持していた、被相続人が死亡するまで看護し続けたなどの事情がある場合には(つまり法律上の妻が存在する場合)は、遺族年金の受給権者は法律上の妻ではなく、内縁の妻にあると判示しました(最高裁判所第一小法廷平成17年4月21日判決)
尚、被相続人の退職金についても、就業規則の定め方によっては、内縁の配偶者がこれを受け取ることができるケースがあります。
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