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相続税申告の預り敷金の評価はどうするのか?
2017/04/30
今回のさいたま市のお客様の相続税申告では、預り敷金もあるし、山林の評価もあるし、結構いろいろもりだくさんです。
被相続人が不動産を貸している賃借人から敷金や保証金を預かっている場合、この預り敷金や保証金は賃借人に返さないといけない債務とされますので、相続財産からマイナスできます。預り敷金や保証金の計上もれがある場合には、相続税を払いすぎている可能性があります。
したがって、今回は相続税の債務に預り敷金を含めますが、そのままの金額で評価していいのかという問題が発生します。
判例によると、預り敷金については、返還するまでの期間に応じた複利原価率で、評価(割引計算)する必要があります。
判例の詳しい説明を下記に記載しますので、興味があればご覧になってください。
<賃貸ビルに係る保証金債務の額について、無利息等であることを理由としてその経済的利益の現在価値を控除することは相当でないとした事例 裁決事例集 No.24 – 146頁>
ビルの賃貸に際し、賃借人から預託を受けた保証金債務は、形式上長期かつ無利息等であるが、それは、本件保証金の利息と本件賃貸ビルの賃貸料の額の一部とを相殺して単にそのように約定されているものであり、実質的には本件保証金債務金額から控除されるべき経済的利益の額はないものと認められるから、単に形式的に無利息等であるからとして債務控除の適用上経済的利益を毎年享受するものとしてその現在価値を控除して当該債務の額を算定することは相当でない。
<無利息の敷金に係る債務控除額は、敷金の金額から、通常の利率による返還期までの間に享受する経済的利益の額を控除した金額によるのが相当とした事例>
- 本件敷金が無利息債務に当たるのは明らかであり、これを承継した請求人らは、当然に通常の利率による利息相当額の経済的利益を本件敷金の返還期までの期間享受するのであるから、その債務控除すべき金額については、敷金の金額から、請求人らが返還期までの間に享受するこの経済的利益の相続開始時の額を控除した金額によるのが相当である。
- 相続税法第22条が債務の評価について相続開始時の現況による旨規定していることからすれば、債務の評価に当たっては、相続開始時において客観的かつ具体的に確認されない事柄を影響させることは妥当ではないのであるから、相続開始日において、賃貸借期間の満了日前に本件契約の終了することが確実と認められる事情が存しない限り、賃貸借期間のうちの残存期間をもってこの経済的利益を算出するのが合理的である。
- 本件敷金のような長期無利息債務の評価に用いる通常の利率は、統一的な指標となり得る長期金利等を基準とし、相続開始時に弁済期までの金利の動向等を考慮して求めるのが相当であるから、他の財産の評価方法とのバランスをも考慮すれば、相続開始月以前10年間の長期国債(10年)の応募者利回りと長期プライムレートの平均値を基礎とし、年5%とするのが相当である。
<無利息の預り保証金及び敷金に係る債務控除額は、その元本価額から、通常の利率による返還期までの間に享受する経済的利益の額を控除した額によるのが相当であるとした事例>
控除すべき債務が弁済すべき金額の確定している金銭債務の場合であっても、その弁済すべき金額が当然に当該債務の相続開始時における消極的経済的価値を示すものとして課税価格算出の基礎となるものではなく、金銭債務について、その権利の具体的内容によって時価を評価するのと同様に、金銭債務についてもその利率や弁済期等の現況によって控除すべき金額を個別的に評価しなければならないのであり、控除すべき債務の金額は必ずしも常に当該債務の金額と一致するものではない。
無利息で預託されている金銭債務(以下「無利息債務」という。)であれば、これを承継した相続人は、通常の利率による利息相当額の経済的利益を弁済期が到来するまでの期間享受することになり、その享受する経済的利益の相続開始時における現在価値に相当する額だけ相続又は遺贈により取得した経済的価値の減殺要因が小さくなることから、無利息債務の相続開始時の評価額は、通常の利率と弁済期までの年数から求められる複利現価率を用いて相続開始時現在の経済的利益の額を計算し、無利息債務の元本額からこの経済的利益の額を控除した金額とするのが相当である。
自由が丘税理士法人 重松輝彦
貸家建付地の評価について
2017/04/26
貸家建付地とは、自分の所有する土地に自分の所有するアパートやマンション、貸しビルなど、賃貸用の建物を建てて、他人に貸している場合の土地を言います。
この場合、賃貸用建物の土地は借家人が利用することになるため、例えば自宅の敷地のように地主が自由に使える土地(自用地)よりも土地の評価は低くなります。
具体的には、自用地の評価額から、他人が借りている権利に相当する額を差し引いた評価になります。
評価額の計算式は次のとおりです。
貸家建付地の価額=自用地とした場合の価額-自用地とした場合の価額×借地権割合×借家権割合
このときの借地権割合や借家権割合は地域によって異なりますが、路線価図や評価倍率表で確認できます。なお、路線価図や評価倍率表は国税庁ホームページで閲覧できます。東京都では、借家権割合は30%です。
よく賃貸住宅を建てると相続対策になると言われますが、その根拠の一つが、この貸家建付地の評価なのです。すなわち、所有している土地が自用地ではなく貸家建付地として評価されると、相続税評価額が下がるので相続対策になるという訳です。
貸家建付地と似ているようで全く異なるものに、「貸宅地」というものがあります。両者の違いは、「借地権」などの権利が土地の上に生じているか否かという点です。
貸家建付地は、自分の土地の上に自分が所有するアパート等が建っている状態です。一方、貸宅地は、自分の土地の上に土地を借りた人が所有する家が建っている状態です。貸家建付地は自分の土地を他人に貸しているのではなく、土地の上に建っているアパート等を貸しています。でも、貸宅地は、自分の土地自体を他人に貸しているのです。
他人がそこに家を建てる前提で、自分の土地を他人に貸した場合、土地を借りた側には「借地権」という権利が生まれます。これは簡単に言えば、その土地に建物を建てて自由に使ってよいという権利です。この借地権自身が、価値を有するものとして売買の対象にもなります。一方、土地を貸した側は、借地権のついた土地の所有権が残り、これを「底地権」とか「底地」と呼んだりします。
自由が丘税理士法人 重松輝彦
相続税評価におけるゴルフ会員権の評価
2017/04/24
会計上ですと、名義書き換え停止中の時価の算定ができないゴルフ会員権なんて、紙切れみたいなものなんで、ゼロ評価にできるのですが、相続税評価額で算定するとゼロ評価にすることはできないみたいです。
判例もあるので、ピックアップしますと
東京地裁民事3部(鶴岡稔彦裁判長)は、平成16年12月16日、ゴルフ会員権の相続税評価を争点とした相続税更正処分取消等請求事件において、「ゴルフクラブの規約等に基づいて返還を受けることができる日までの期間に応ずる年8分の利率による複利現価の額による評価」と規定する評価通達の合理性を容認し、ゴルフ会員権価格の低迷や預託金返還が履行されないおそれを背景とした「通達評価への疑問」を訴える相続人の請求を棄却した(平成13年(行ウ)第270号)。
相続税評価額が争われた2つのゴルフ会員権は、いずれも預託金制の会員権で、いずれも開場当初から「名義書換停止中」となっていた。
原告は、本件相続の開始時における本件会員権の価格をいずれも0円として、相続税の申告等を行ったが、被告は、財産評価基本通達関係個別通達(相続税および贈与税におけるゴルフ会員権に関する評価について)に規定する取り扱いに基づいて「ゴルフクラブの規約等に基づいて返還を受けることができる日までの期間に応ずる年8分の利率による複利現価の額による評価」による更正処分等を行った。
原告は、以下の争点について、本件各会員権の価額を過大に評価した違法があるとして、更正処分等の取消しを請求した。
争点①(通達の合理性)
原告は、「バブル経済崩壊後、多数のゴルフクラブ経営会社が預託金の返還に窮しており、ゴルフクラブの会員が預託金を回収するのが容易でない事例が多くなっている。」として、預託金返還請求権の現価を時価とする通達評価には合理性がないと主張した。
東京地裁は、「健全な経営を続け、預託金の返還についても特段の問題が生じていないゴルフクラブも存在することも事実なのであるから、原告主張の事由から本件通達の一般的な合理性を否定するのは相当でなく、むしろ、本件各会員権について、約定通りに預託金の返還を受けられない蓋然性が存するのかどうかを個別的に判断すべきものである。」と、原告の主張を斥けた。
争点②(本件各会員権は「取引相場のないもの」に該当するか)
原告は、「いわゆる念書売買の実例があり、『参考相場』が示されるものもあったことから、『取引相場のないもの』に該当するとしての通達評価には、通達の解釈適用の誤りがある。」と主張していた。
東京地裁は、「買主において、ゴルフ場の優先的利用権が完全には行使されないというような問題を含む念書売買の価格をもってゴルフ会員権の客観的な交換価値を示すものと見ること自体に疑問の余地がある。」と指摘し、「本件各会員権について、仮に、取引業者の間に何らかの指標が存在したとしても、それは、当該取引業者の個別的な判断に基づく評価の域を出るものではなく、相続税の計算における相続財産の評価の基礎とするに足りる一般性のある相場が、ゴルフ会員権の取引業者の共通認識として形成されていたとはいい難く、結局のところ、本件各会員権について、本件通達にいう『取引相場』が存在したと認めることはできない。」と、原告の主張を斥けた。
争点③(通達評価の具体的な合理性について)
原告は、i預託金返還債務が履行されないおそれ、ii通達による本件評価は、本件会員権の相続人が実際に第三者に譲渡した代金額と比較しても高額に失する、ことから、「通達による本件評価は、本件会員権の客観的な交換価値を反映していないというべきであり、(中略)このような事情は、本件通達その他の通達に拠らない評価をすべき特別の事情にも当たる。」と主張した。
東京地裁は、「本件各会社(ゴルフ場)について倒産手続きが開始されたとか、そのような動きがあるといった事情は全くうかがわれないし、(中略)預託金の返還期限延長に向けた動きが存するとか、預託金返還をめぐる紛争が発生しているとかいった事情については何ら主張立証がされていないのであって、これらの事実に基づく限り、預託金返還請求権が約定どおりに返還されないおそれがあることについて具体的な裏付けがされているとは到底いい難いもの」・「取引相場のないゴルフ会員権の処分価格を適正な時価と評価することに疑問が存する」と判示して、原告の主張を斥けた。
結論・特別な事情は認められない
東京地裁は、「本件通達評価は、一般に合理性のある本件通達を適正に解釈適用したものであり、かつ、個別事案として本件通達によらないことが正当として是認されるような特別の事情も認められない。」と結論付け、原告の請求を棄却した。
ではどうすればいいのかということですが、
取引相場のあるゴルフ会員権の場合
課税時期(相続の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)の取引価格の70%に相当する金額によって評価します。
この場合において、取引価格に含まれない預託金等があるときは、次に掲げる金額との合計額によって評価します。
(1)課税時期において直ちに返還を受けることができる預託金等
ゴルフクラブの規約などに基づいて課税時期において返還を受けることができる金額
(2)課税時期から一定の期間を経過した後に返還を受けることができる預託金等
ゴルフクラブの規約などに基づいて返還を受けることができる金額の課税時期から返還を受けることができる日までの期間(その期間が1年未満であるとき又はその期間に1年未満の端数があるときは、これを1年とします。)に応ずる基準年利率による複利現価の額
取引相場のないゴルフ会員権の場合
(1)株主でなければゴルフクラブの会員(以下「会員」といいます。)となれない会員権
財産評価基本通達の定めにより評価した課税時期における株式の価額に相当する金額によって評価します。
(2)株主であり、かつ、預託金等を預託しなければ会員となれない会員権
その会員権について、株式と預託金等に区分して、それぞれ次に掲げる金額の合計額によって評価します。
イ 株式の価額
上記2の(1)に掲げる方法を適用して計算した金額
ロ 預託金等
取引相場のある会員権の(1)又は(2)に掲げる方法を適用して計算した金額
(3)預託金等を預託しなければ会員となれない会員権
上記1の(1)又は(2)に掲げる方法を適用して計算した金額によって評価します。
自由が丘税理士法人 重松輝彦
相続後の空き家対策の税金対策について
2017/04/18
平成28年度税制改正大綱に相続空き家に対する政策税制が記載されました。総務省統計局によれば、平成25年の空き家率(空き家/総住宅数)は13.5%。その割合は統計開始以来右肩上がりで上昇しています。実際にさいたま市でも少し駅から離れると空き家になっている家が見受けられます。私が相続税申告した物件もまだ空き家のままのようです。
既に施行されている固定資産税に関する「特定空き家」制度によって、固定資産税が最大6倍にもなるリスクも気になるところではないでしょうか。さらには、火災の発生や建物の倒壊、衛生面や景観面での悪化等、多岐にわたる問題が生じた場合に管理者責任を問われることも心配です。
空き家についてはいろいろ悩みはあるものの、売却した場合、通常の譲渡所得税(多くの場合は売却価格の約20%)が課税され、現行の税制が相続空き家に対する有効活用の足かせになっていた感は否めませんでした。
税制改正の施行時期、他の各種特例との選択適用又は重複適用の措置、適用要件を証明する添付書類の種類等々については現時点では詳細が明らかになっていませんが、平成28年度税制改正大綱の中で判明している点について解説したいと思います。
【改正案の要点】
相続した被相続人の居住用不動産であった物件を譲渡した場合、「一定の場合」には3000万円の特別控除が適用できます。
【条件】・ 家屋 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建物は除く)であること。かなり古い一戸建てということですので、マンション等は認められません。・ 居住要件 相続開始直前において被相続人の居住用であり、かつ、被相続人以外に居住していた者がいないことなので、賃貸に出されていた物件は今回の改正から除かれるということです・譲渡時 相続開始日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡することなので、早めの対策が必要です。
山林の種類と相続税評価
2017/04/10
今度の相続税申告のお客様は、山林も相続の対象となるので、復習も兼ねて国税庁のHPを掲載します。
山林の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げる方式によって行う。
(1) 純山林及び中間山林 (通常の山林と状況を異にするため純山林として評価することを不適当と認めるものに限る。以下同じ。) 倍率方式
(2) 市街地山林 比準方式又は倍率方式
(純山林の評価)
純山林とは、市街地から遠く離れた場所にあり、土地の財産評価に当たり、宅地の影響をほとんど受けない山林のことをいう。
純山林の価額は、その山林の固定資産税評価額に、地勢、土層、林産物の搬出の便等の状況の類似する地域ごとに、その地域にある山林の売買実例価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する。
(中間山林の評価)
中間山林とは、山林の中で、市街地近郊にある山林で、売買価格水準が純山林としての売買価格より高い水準にある山林のことをいう。
中間山林の価額は、その山林の固定資産税評価額に、地価事情の類似する地域ごとに、その地域にある山林の売買実例価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する。
(市街地山林の評価)
市街地山林とは、市街地にあり、土地評価に宅地の影響を受ける山林のことをいう。
市街地山林の価額は、その山林が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額から、その山林を宅地に転用する場合において通常必要と認められる1平方メートル当たりの造成費に相当する金額として、整地、土盛り又は土止めに要する費用の額がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長の定める金額を控除した金額に、その山林の地積を乗じて計算した金額によって評価する。
ただし、その市街地山林の固定資産税評価額に地価事情の類似する地域ごとに、その地域にある山林の売買実例価額、精通者意見価格等を基として国税局長の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価することができるものとし、その倍率が定められている地域にある市街地山林の価額は、その山林の固定資産税評価額にその倍率を乗じて計算した金額によって評価する。
なお、その市街地山林について宅地への転用が見込めないと認められる場合には、その山林の価額は、近隣の純山林の価額に比準して評価する。
この3つさえ把握できれば、今後の相続税申告には問題ないが、一応細かい評価も記載しておく。
(広大な市街地山林の評価)
前項本文及びただし書の市街地山林が宅地であるとした場合において、24-4((広大地の評価))に定める広大地に該当するときは、その市街地山林の価額は、前項の定めにかかわらず、24-4の定めに準じて評価する。ただし、その市街地山林を24-4の定めによって評価した価額が前項本文及びただし書の定めによって評価した価額を上回る場合には、前項の定めによって評価することに留意する。
(保安林等の評価)
森林法(昭和26年法律第249号)その他の法令の規定に基づき土地の利用又は立木の伐採について制限を受けている山林(次項の定めにより評価するものを除く。)の価額は、45((評価の方式))から49-2((広大な市街地山林の評価))までの定めにより評価した価額(その山林が森林法第25条((指定))の規定により保安林として指定されており、かつ、倍率方式により評価すべきものに該当するときは、その山林の付近にある山林につき45から49-2までの定めにより評価した価額に比準して評価した価額とする。)から、その価額にその山林の上に存する立木について123((保安林等の立木の評価))に定める割合を乗じて計算した金額を控除した金額によって評価する。
(特別緑地保全地区内にある山林の評価)
都市緑地法(昭和48年法律第72号)第12条に規定する特別緑地保全地区(首都圏近郊緑地保全法(昭和41年法律第101号)第4条第2項第3号に規定する近郊緑地特別保全地区及び近畿圏の保全区域の整備に関する法律(昭和42年法律第103号)第6条第2項に規定する近郊緑地特別保全地区を含む。以下本項、58-5((特別緑地保全地区内にある原野の評価))及び123-2((特別緑地保全地区内にある立木の評価))において「特別緑地保全地区」という。)内にある山林(林業を営むために立木の伐採が認められる山林で、かつ、純山林に該当するものを除く。)の価額は、45((評価の方式))から49-2((広大な市街地山林の評価))までの定めにより評価した価額から、その価額に100分の80を乗じて計算した金額を控除した金額によって評価する。
自由が丘税理士法人 重松輝彦
相続財産の空地特別控除3千万円とマイホーム売却による譲渡損失が同じ年度に適用できるのか?
2017/04/04
譲渡した年の前年または前々年において行った資産の譲渡について繰越控除の特例を適用して相続財産の特別控除の適用を受ける場合には特別控除を利用することはできず、逆に譲渡損失の繰越控除を相続財産の売却による特別控除を受ける前年または前々年において適用された場合には、譲渡損失の繰越控除の特例を利用することはできない。
ということは、相続財産の売却による特別控除とマイホームによる売却の繰越控除の特例は、同じ年度に行われれば両者を同時に適用することができるということとなる。とすれば、相続財産の売却による収入は特別控除の3千万円を利用して、給与所得等の所得と譲渡損失の特例で損益通算ができれば、還付税金も多くなると思ってしまう。
しかし実際は譲渡損失の繰り越し分は、まず他の譲渡により発生した所得と相殺することになりますので、今回の場合ですと、土地の売却による所得と譲渡損失を相殺してさらに譲渡所得が残っていれば、特別控除が利用できるのです。
従って、両者を併用できるといえども、実際は両社の併用は難しいということなのです。
弊社のさいたま市のお客様の場合、不動産会社の顧問税理士に相談して両者を適用できると確認して、相続財産を売却した同じ年度にマイホームを売却して新しい自宅を購入したのですが、特別控除が利用できなかったので、百万円以上の還付税金を逃してしまいました。ただ、どうせ新しい自宅は購入予定だったと思うので、いずれにしても適用できなかったのかなは思う。
自由が丘税理士法人 重松輝彦
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