スタッフブログ
不動産相続の特例
2014/02/20
不動産の相続は特例で節税
被相人の財産のうち、居住や事業に使われていた宅地は、相続人が引き続きそこで暮らしたりする場合には、重要な生活の拠点となります。
住居がなくなってしまうと、生活自体に破綻が生じる可能性が高いです。相続人の生活を守るために、一定の要件を土地については、相続税を大幅に軽減できる制度が設けられています。これを小規模住宅等の特例といいます。また、被相続人が事業用に使っていた土地についても、事業の継続のために減額できるのです。
小規模住宅等は、個人が相続や遺贈により取得した宅地等で、次すべての要件に該当するものをいいます。
1.被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の居住宅地・事業用宅地等であること
2.宅地が、建物または構造物の敷地であること
3.販売用の棚卸資産でないこと
4.相続税申告書の提出期限までに分割されていること
遺産が申告期限までに分割されていない場合には、他の要件を満たしていても、適用を受けることができません。申告期限までに遺産分割が間に合わなかった場合には、いったん、小規模宅地の評価減を適用しないで納税と申告を済ませておき、その後申告期限から3年以内に遺産分割協議が整ったときは、その日の翌日から4カ月以内に限り、更正の請求という手続きによって、税金を返してもらうことができます。
亡くなった人の居住用宅地の相続が、以下のいずれかの要件を満たせば、200㎡まで評価額の50%減額が、特定居住用宅地等として240㎡まで80%の減額となります。
1.その宅地等を取得する人が、配偶者である
2.その宅地等を取得する人が、被相続人の同居親族で保有継続かつ移住継続すること
3.その宅地等を取得する人が、生計を一にする親族で、保有継続かつ移住継続すること
4.法定相続人がいない場合、その宅地等を取得する人が、3年以内に日本国内で自分または配偶者が保有する家屋に居住したことがない親族で、保有継続すること
埼玉県さいたま市(さいたま) 相続税 税理士 重松輝彦 http://souzoku-ts.com/
25年度相続税改正で27年から大幅に緩和
さらには平成25年度の相続税の改正で、平成27年度1月から小規模宅地等の特例は大幅に改正されます。
まず第1に、被相続人等の自宅の敷地が80%減額される特定移住用宅地等について、限度面積が240㎡から330㎡まで拡大されます。
第2は、特例の対象として選択する宅地等の全てが特例事業用等宅地等及び、特定居住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで減額可能です。なお、貸付事業用宅地等を選択する場合における適用対象面積の計算については、現行通り、調整を行います。これまでは、特定居住用宅地240㎡、特定事業用宅地400㎡が設けられており、どちらか片方で限度面積まで特例適用するともう片方が要件を満たしていても特例を適用できないのです。
第3に、一棟の二世帯住宅で構造上区分のあるものについて、被相続人及びその親族が各独立部分に移住していた場合には、その親族が相続または遺贈により取得したその敷地の用に供されていた宅地等のうち、被相続人及びその親族が居住していた部分を特例の対象とします。
第4に、老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等は、次の要件が満たされる場合に限り、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして特例を適用します。
1.被相続人に介護が必要なため入所したものであること
2.当該家屋が貸付等の用途に供されていないこと
埼玉県さいたま市(さいたま) 相続税 税理士 重松輝彦 http://souzoku-ts.com/
配偶者への贈与税額免除
2014/02/20
婚姻期間が20年以上の夫婦間に適用される
相続税は配偶者に対して1億6000円までは課税されないことは説明しました。しかし、資産が多い人はやはり事前の相続税対策は必要です。そのためには贈与という方法を利用することが考えられますが、夫婦間であっても、贈与をすれば相続税はかかります。しかし、相続税の配偶者控除があるように、贈与税にも、一定の要件を満たせば、贈与税の配偶者控除により、最高2000万円の控訴が認められます。
贈与税の基礎控除が110万円です。つまりこの方法を使えば、その年のほかの贈与がなければ、110万円+200万円、トータルで2110万円までは贈与税がかかららない計算となります。この配偶者贈与税額控除の適用を受けるための要件は以下の通りです。
①婚姻期間が20年超の夫婦間の贈与であること
②自分が住むための居住用不動産の贈与、または居住用不動産を取得するための金銭の贈与であること
③贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、贈与によって取得した国内の移住用不動産、または贈与を受けた金銭で取得した国内の移住用不動産に、贈与を受けた人が実際に住んでおり、かつ引き続き居住する見込みであること
④土地または借地のみの贈与の場合、家屋の所有者が配偶者または同居している親族であること
⑤無税でも贈与税の申告を行うこと
⑥同一の配偶者から一生に一度だけの贈与であること
まず、①については、20年という期間は正式な婚姻届を出してからの期間をいいます。同棲期間や婚約期間は含まれませんし、内縁関係にある人にも贈与することはできません。婚姻届を提出した正真正銘の夫婦であることが大前提です。
②については、土地や建物の贈与税の評価は、土地だと時価の80%、建物は60%程度と、通常の時価よりも低く評価されてるので、金銭よりも不動産の贈与がお勧めです。
⑤は、2110万円以下の贈与でも、税務署に申告書を提出しなければなりません。このとき、贈与税の申告書の添付書類として以下の書類が必要になります。「贈与日から10日を経過した日以降に作成された戸籍謄本」「贈与日から10日を経過した日以降に作成された戸籍の附表の写し」「居住用不動産の登記簿謄本」「居住用とした日以降に作成された住民票の写し」の4つを3月15日までに確定申告書と一緒に提出します。
なお、この制度を利用した場合、贈与税は無税になりますが、不動産の登録免許税と不動産取得税は別途かかってしまいます。
登録免許税は相続の場合、固定資産税評価額の0.4%、贈与の場合は2%なので、5倍の開きがあります。また、不動産取得税は、相続税の場合は非課税ですが、贈与の場合は固定資産評価額に対して、土地3%・建物3%がかかってしまいます。
他にも、不動産登記の場合、司法書士の報酬もかかってしまいます。
埼玉県さいたま市(さいたま) 相続税 税理士 重松輝彦 http://souzoku-ts.com/
夫名義の不動産を共有財産にし節税
通常の贈与であれば、相続開始前3年以内の生前贈与は、さかのぼって相続税が課されますが、配偶者の贈与税額控除の2000万円は加算の対象から外れます。たとえ贈与をした年に被相続人が亡くなった場合でも、相続財産に加算されることはありません。
なお、居住用の土地家屋が夫名義のみだった場合、この配偶者控除を使って、夫婦の共有財産にしておくのも節税策の一つです。将来自宅を売却することがあれば、「居住用財産の課税所得の3000万円の特別控除」を、夫婦二人分で適用することができるのです。夫一人なら3000万円のところ、妻と二人なら合計6000万円の売却益まで税金がかからないのです。
埼玉県さいたま市(さいたま) 相続税 税理士 重松輝彦 http://souzoku-ts.com/
生命保険・死亡退職金で節税
2014/02/20
納税対策資金としても生命保険の利用を一考
生命保険には、将来の病気に備えるというだけでなく、相続税の節税対策という一面もあります。相続財産の主な資産が土地で、相続人も相続税を支払えるほどの現預金がない場合は、延納という手段がありますが、相続開始10カ月以内に納税することは非常に困難です。しかし被相続人が生命保険に加入していれば、死亡した後に生命保険金が入ってくるので、納税対策として有効です。
また、相続人が受け取る生命保険のうち、被相続人が負担した保険料に相当する部分については、法定相続人に一人につき、非課税金額として500万円が設定されています。
式にすると以下のようになります。
生命保険の非課税金額=500万円×法定相続人の人数
法定相続人が多いほど非課税枠が増えるので、生命保険は相続税の節税対策として有効な手段となります。
例えば高齢でも加入できる生命保険が最近ありますが、保険料は高額、さらには保険料に対してほとんど上乗せがなく、原本割れとなってしまう商品がほとんどです。それでも、非課税金額による節税を考えれば生命保険に加入するべきと考えられます。現金で1490万円を持っていれば、その1490万円は相続税の課税対象になりますが、保険金が1500万円になれば、相続人が3人いれば、非課税枠が1500万円なので、保険金に対しては相続税を支払わないで済むのです。
高齢になっても保険に加入されていなかったような人や、非課税枠にまだ余裕がある場合は、相続税の節税目的追加で生命保険に入るの一考です。なお、法定相続人に対しての500万円の基礎控除は平成25年度の相続税改正案でなくなりそうだったのですが、継続されることになりました。
埼玉県さいたま市(さいたま) 相続税 税理士 重松輝彦 http://souzoku-ts.com/
死亡退職金を利用した節税方法
経営者が会社から支給される役員退職金のうち、死亡したことが原因となり支給される「死亡退職金」及び「弔慰金」は、相続税の節税・納税に大きな効果があります。遺族が受け取る死亡退職金については、生命保険と同様に法定相続人一人につき、非課税枠として500万円が設定されています。
死亡退職金の非課税枠=500万円×法定相続人の人数
サラリーマンの方でも知っておいた方が得な知識なのでさらに解説しますと、死亡退職金の額は自由に設定できますが、多額の役員退職金は、税務署から損金として認められない恐れがあります。弔慰金も法律上で「社会通念上相当な金額」であると認められる金額は、損金の額に参入することが認められています。弔慰金は、会社への損金算入が認められていると同時に、遺族にとっても非課税となります。遺族に支払う際、死亡退職金の名目だけで支給するのではなく、一部を弔慰金して支給することで総額が同じでも相続財産に課税される相続税の金額は異なってくる場合もあります。
埼玉県さいたま市(さいたま) 相続税 税理士 重松輝彦 http://souzoku-ts.com/
教育資金の贈与
2014/02/20
信託銀行に口座を開き、信託契約が必要
これまでも、孫の教育費や生活費を個別に直接払う分には贈与税はかかりませんでしたが、祖父母が孫やひ孫に将来の教育資金をまとめて渡せば、孫1人あたり1500万円まで贈与が非課税となる制度が新しくできました。
ただし、2013年4月から2015年12月末までの期間の贈与のみと限定されています。
今回の制度は「まとめて1500万円以内」なら贈与が非課税となるのが特徴です。私立の学校を小さいころから通わせると学費も高く、一般サラリーマン家庭の夫婦では、支払うのは簡単ではありません。
この制度を利用するには、金融機関に信託用の口座を作り、信託契約を結ぶ必要があります。口座開設については「信託業務に慣れている信託銀行」で行うとスムーズに手続きが進みます。
各大手信託銀行は「教育資金贈与信託」を設けており、管理手数料はいずれも無料。手続きには贈与する側、される側双方の印鑑、関係を示す戸籍謄本などが必要です。払い出し時は、口座のある金融機関に学校などからの領収書を提出します。教育目的に使ったことを証明するためです。払い出しの手数料の額や前払いの可否、手続きが郵送でできるかどうかなど、サービスは金融機関によって違いがありますので、口座開設の前によく確認し、自分たち家族に合った金融機関を選んでください。
なお、この教育資金のための口座契約の終了は、以下の場合となります。
①受贈者が30歳に達した場合
②受贈者が死亡した場合
③口座の残高がゼロになり、かつ、教育資金口座にかかる契約を終了させる合意があった場合
埼玉県さいたま市(さいたま) 相続税 税理士 重松輝彦 http://souzoku-ts.com/
塾や習いごとスポーツ教室などもOK
1500万円の贈与の対象になる教育資金とは、学校等に対して直接支払われる次のような金銭をいいます。
①入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費または入学(園)試験の検定料など
②学校品の購入費や修学旅行費や学校給食費など、学校等における教育に伴って必要な費用など
また、学校の入学金や授業料以外でも、500万円までなら、塾や習いごと、スポーツ教室などのお稽古(けいこ)代に使うことも認められています。
その場合の支出に対する領収書等は、口座開設した金融機関に提出が必要となります。
なお、この制度を活用する場合、例えば4人に1500万円ずつ贈与すれば、一日で総額6000万円の相続財産を減らす効果が得られます。
さらには相続人に生前贈与すると、「生前贈与加算」の対象にならない点は大きなメリットの一つです。子や孫養子に贈与した後すぐに贈与者が亡くなっても、生前贈与加算の対象にはなりません。
また、贈与税の基礎控除(110万円)を用いた暦年贈与とこの教育費の贈与をセットで利用できるのも魅力です。信託銀行へ1500万円送金し、同時に孫本人の口座へ110万円送金すれば、合計1610万円を非課税で贈与できるというわけです。
埼玉県さいたま市(さいたま) 相続税 税理士 重松輝彦 http://souzoku-ts.com/
相続税が高すぎて払えない
2014/02/20
支払いを分割する「延納」ただし、担保が必要
相続財産が現金や上場株式などの金融資産で、すぐに換金できるものであればいいですが、相続する資産が、不動産など簡単に換金できないものもあります。換金できない場合、手元資金がないと、相続税の納付期限である相続開始から10か月以内に、すぐには税金を支払えない可能性があります。このような場合には「延納」、お金の代わりに「物」で税金を納める「物納」という2つの方法があります。
延納できる期間は、原則として5年以内です。しかし、相続財産の中で不動産等の占める割合が大きい場合は、最高20年まで認められます。また延納が認められるのは以下の条件をすべて満たす必要があります。
1、相続税が10万円を超えること。
2、金銭で納付することを困難とする理由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること。
3、延納税額及び利子税の額に相当する担保を提供すること(ただし、50万円未満で延納期間が3年以下の場合にはこの限りではない)。
4、延納しようとする相続税の納期限または納付すべきに日までに延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。ただし、担保提供関係書類を延納申請期限までに提出することができない場合には、担保提供関係書類提出期限延長届出書を提出すれば、1回につき3カ月単位で、最長6カ月までは、担保提供関係書類の提出期限を延長することができます。
埼玉県さいたま市(さいたま) 相続税 税理士 重松輝彦 http://souzoku-ts.com/
お金の代わりに「物」で税金を納める「物納」
物納とは、相続税を現金で納税するかわりに、有価証券・土地等の現金以外の財産で納税する方法です。延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、その納付を困難とする金額を限度として、一定の相続財産(不動産や有価証券等)による物納が認められています。ただし、物納を申請した場合は、延納と同じく、納付までの期間に応じた利子税の支払いが必要になります。また、下記の条件全てを満たしていなければなりません。
1.延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること。
2.物納申請財産は、納付すべき相続税の課税価格計算の基礎となった相続財産のうち、次に掲げる財産及び順位で、その所在が日本国内にあること(第一順位 国債、地方債、不動産、船舶 第2順位 社債、株式、証券投資信託または貸付信託の受益証券 第3順位 動産)。
3.物納に充てることができる財産は、抵当権がついているような土地や、境界が明らかでない土地等の物納不適格財産でないこと。
4.物納しようとする相続税の納期限または納付すべき日(物納申請期限)までに、物納申請書に物納手続関係書類を提出することができない場合、物納手続関係書類提出期限延長届出書を提出すれば、1回につき3カ月単位で、最長1年まで、物納手続関係書類の提出期限を延長することができます。
埼玉県さいたま市(さいたま) 相続税 税理士 重松輝彦 http://souzoku-ts.com/
生前贈与の基礎知識
2014/02/20
贈与税の仕組みを利用して相続税を減らす
前記事で平成27年1月から相続税率が引き上げられることが決まったため、従来以上に「生前贈与」が重要になって くることを説明しました。とはいえ、「生前贈与をしたいのは、やまやまだけれど、贈与税は高いのではないか」と感じている人も少なくはないはずです。
ですが、贈与税のしくみをうまく利用すれば、贈与税を節税しながら、結果として相続税を減らすことができます。
贈与は年間110万円まで課税されません。これを「贈与税の基礎控除」といいます。
110万円を10年続ければ1100万円、20年続ければ2200万円を相続財産から控除することが可能となります。実は相続税を減らす最大のポイントは、生前から計画的に、贈与等によって相続財産を減らしていくことなのです。
たとえば、現在70歳のAさんは子とその妻、孫にも妻がいるという家族構成とします。この家族4人に毎年110万円ずつわたすとすると、年間440万円。これを10年続ければ、440万円分の財産を減らせることができます。
ただし、体調が悪くなったからといって慌てて相続税回避のためにすぐに生前贈与を始めても財産の減少として認められないこともあります。相続人へ贈与しても、被相続人が亡くなった相続税発生時点から3年前までの贈与は、相続財産に含まれて計算されてしまいます。その結果、相続税を減少させることができなかったという場合もありえます。
そのような事態を避けたいなら、子の配偶者や孫は相続権を持っていないので、彼らに贈与したほうが無難です。そうすれば、相続発生直前であっても相続税の加算対象になりません。特に、一代飛ばしとなる孫への贈与は、その親から孫への相続時にも対象外となるので効果が高いです。
埼玉県さいたま市(さいたま) 相続税 税理士 重松輝彦 http://souzoku-ts.com/
暦年贈与を実行する時の注意点
暦年贈与を実行する時の注意点をまとめておきましょう。
1、同じ月日にしないこと。
毎年同じ月日で贈与すると、「定期金の贈与」とみなされ、一括して贈与税が課税される恐れがあります。贈与の月日は毎年変えるべきです。
2、贈与を受けた人が通帳や印鑑を保管活用していること。
贈与した人が通帳や印鑑を管理するのはよくありません。
3、毎年同じ金額にしないこと。
毎年同じ額の贈与を10年とか15年といった長期にわたって続けると、贈与の開始時にすべての金額の贈与の意思があったと見なされて、一括して贈与税が課税される恐れがあります。
4、贈与契約書を毎年作成して、申告書を提出すること。
贈与の契約書をまず作成することが有効な手段です。契約書を作成しなくても、贈与税が若干発生する程度に贈与して、贈与税の確定申告書を作成して提出することも有効な手段です。
他には、贈与する人、される人がお互いに通帳や印鑑、カード等を別々に所有・管理していないと、せっかく積み重ねてきた節税の努力が無駄になってしまいます。十分注意してください。
埼玉県さいたま市(さいたま) 相続税 税理士 重松輝彦 http://souzoku-ts.com/
賢く相続・贈与で節税する
2014/02/20
世代交代時にかかる税金が相続税
相続は世代交代する時に課税される、というのが現在の日本の税制の基本的な考え方です。そのため同じ世代である配偶者への相続に関しては特例制度が設けられていて、相続の負担がかからないような措置が取られています。
結論からいうと、配偶者への相続の場合、法定相続割合までの相続財産、または1億6千万円までは相続しても一切相続税はかかりません。ただし、この特例は実際の遺産分割により配偶者が取得した財産についてのみ適用され、相続税の申告期限までに配偶者に分割されてない財産については、適用できません。しかし、まずは、期限内に申告を行い、その後に申告期限から3年以内に分割された場合には配偶者の税額軽減が適用となります。
この税額軽減を受けるためには、税額軽減の明細を記載した相続税の申告書に、配偶者が取得した財産の明細、戸籍謄本、遺言書の写し、または遺産分割協議書の写しなどを添付して税務署に提出する必要があります。この手続きをとらなければ、控除は認められず、課税されてしまうので、届出と期日を忘れないようにしましょう。
なお、相続した財産については、以下の算式で計算した金額を配偶者の相続税額から控除することになっています。
……各相続人の相続税の総額×(A又はBのうちいずれか少ないほうの金額)/遺産の総額
*A 遺産総額×配偶者の法定相続割合。または1億6千万円のどちらか多い金額
B 配偶者が取得した遺産の価額
埼玉県さいたま市(さいたま) 相続税 税理士 重松輝彦 http://souzoku-ts.com/
二次相続を見据えた相続対策が必須
また、相続は、一度で終わるものではありません(最近は子供のいない家庭も多いですが)。基本的には一度目は夫から妻へ、二度目は妻から子へというパターンになります。
先ほど説明したように、一時相続といわれる配偶者への相続は、配偶者の税額軽減などの制度があるため、税額負担が軽く済み、比較的スムーズに行われます。しかし、世代を超えた子供への二次相続では、課税額も大きく、さらには、二次相続が行われるまでの生活費などで金融資産が目減りしています。これにより、現金が手元になく、相続税の支払いに困窮する事態が生じる可能性もあります。土地の不動産はそのまま残り、相続資産額は大きいのに、金融資産(現金)がないという事態です。こういった難しい状況になる危険性もあるので、一次相続の時から、二次相続を見据えた対策を取っておくことが大切です。
なお、相続税には、基礎控除額のほかに説明した配偶者の税額軽減などの相続人の状況によって使える控除が7つほどあります。
・贈与税額控除
・配偶者の税額軽減
・未成年者控除
・障害者控除
・相次相続控除
・外国税額控除
・相続時精算課税制度適用による贈与税額の控除
埼玉県さいたま市(さいたま) 相続税 税理士 重松輝彦 http://souzoku-ts.com/
相続税、生前贈与の基礎知識
2014/02/20
平成27年から控除額が下がり税額も上がる
相続税の支払いができずに家を手放した。相続税額が大きすぎて支払いができない。こういった話を聞いたことがあるはずです。しかし相続税を支払わなければいけない人は国民全体の数パーセントにすぎません。富裕層が対象となる税金でした。しかし平成27年から控除額が引き下げられ税率が上がることが決まりました。そのため相続税の納税対象者が広がるため、事前の相続税対策が必要とされます。
相続税は、相続や遺贈などの人の死亡を原因として財産を取得した個人に課される国税です。相続税がある大きな理由は、富の再配分です。親の持ち物であった財産を、子がそのまま受け継いで自分のものにするのは公平ではないので、税金の形で社会に還元すべきという考えです。相続税が課されるのは、①相続 ②遺贈 ③死因贈与 ④相続時精算時課税を利用して生前贈与が行われた場合です。
先ほど説明したように相続税は、遺産総額が基礎控除額を超えなければ、相続税を支払う必要がありません。現在の基礎控除額の計算方法は、【5000万円+1000万円×法定相続人の数】です。法定相続人とは、民法で定められた相続をする権利のある人のことをいいます。この基礎控除額の金額が、平成27年1月からは【3000万円+600万円×法定相続人】の数に変更されます。
具体的には相続税の計算は以下の通りです。まず、遺産総額(プラスの財産-マイナスの財産)から基礎控除を引いた金額(課税遺産総額といいます)を法定相続割合に応じて各相続人に按分します。次に、これに税率をかけて各相続人の相続税を計算し、これらを合計すれば相続税の総額が計算できます。最後に、この相続税の総額を各相続人が実際に相続した財産の比率に応じ按分して負担し、納税することになります。
さらには相続税の税率も、平成27年度1月から変更し、税率は引き上げられます。相続人の取得金額の2億円超3億円以下の税率は40%から45%となり、6億円超は、50%から55%に引き上げられます。
埼玉県さいたま市(さいたま) 相続税 税理士 重松輝彦 http://souzoku-ts.com/
相続税対策として有効な生前贈与
生前贈与で相続財産を減らすことは重要です。贈与税は相続税よりも高いと考える人もいると思いますが、贈与税の仕組みをうまく利用すれば相続に関わる税を減らすことができます。
個人からある一定の額以上の財産を譲り受け取った時に贈与税はかかります。お金や不動産などを無償で譲り受けた場合だけでなく、保険料を負担していない保険金を受け取った場合、債務の免除などによって利益を受けた場合も、贈与税の対象となります。
贈与税の課税方法には、暦年課税と相続時精算時課税の2種類があります。前者が原則的な課税方法であり、後者は特例として認められている課税方法です。高額の財産を贈与すると、税率の高い贈与税が課されます。しかし、暦年課税では、贈与を受けた財産から、110万円を基礎控除として差し引くことが認められています。したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら、贈与税はかからないのです。
埼玉県さいたま市(さいたま) 相続税 税理士 重松輝彦 http://souzoku-ts.com/
無料相談受付中!お気軽にお問い合わせください 048-662-8066
受付 9時~21時 土・日・祝も対応